2018年02月01日

「小さい「を」」-『方言譚 ②』

  今年は1月17日から隔週で、「DVDコレクション 黒澤 明」を
  水曜日に文苑堂へ取りに行く、ということで予約しておいた。
  一回目は『用心棒』。突然の通夜の帰り道に受け取ってきた。
                        通夜は大抵、突然の通知。
  二回目は今日1月31日だが、ナント!早くも『七人の侍』、だ。
                        何てったって、宮口精二!
  この映画は50年以上も前、叔母に連れられて富山市まで
  観に行って来た。途中に休憩が入ったのが一寸珍しかった。
  で、文苑堂へ行ったあと、
  今夜は、実に実に久し振りに、呑み屋「K」に寄って帰った。

     
                               2018.1.31 オタヤ通りにて
            

            

  ところで、今回のテーマはこっちである。

 高岡人はなぜ、「を」を、「小さい「を」」 という言い方をするのか?
 
  昨年末の12月14日(木)、午後7時からこの「K(カッパ)」で、
 2歳年下の友人である「ガマちゃん」と、二人忘年をした。
         彼の本家筋の外孫は、いまテレビで大活躍の
         モーリー・ロバートソンである。面識はないが、
         40年前に、母親と弟は幾度か顔を見ている。


  その酒の席でガマちゃんは、感嘆すべき説を開陳してくれた。
 以下、当時の気分になって、話題の内容を再現してみると・・・

 ガマ;「タルさん。
      オレ、昔から不思議でならなんだことあったがやけど、
        遂に最近、判ったような気ィすっがやちゃ。」
 タル;「ほぉー。そりゃまた、どうしました。」
 ガマ;「高岡で、オレら昔から「を」の字ぃ、「お」の字と区別して、
     「小さい「を」」ゆうて言うやろぅ~?」
 タル;「おー。言う、言う。」
 ガマ;「なんで、「小さい「を」」言うがやと思~う?」
 タル;「そやちゃネェ~。
     小っちゃい「お」なら、「ぉ」やしのォ~お。何ながかナァ。」
 ガマ;「これはァ、オレの意見ながやけどネ、
     例えば、古代から「小野」ゆう氏族おったやろぅ?」
 タル;「お~お~、知っとっ知っとっ。
     私ゃァ昔ぁ~し、敦賀から湖西線の鈍行に乗り換えて、
     滋賀県の「小野」駅で降りて、小野神社ゆうとこ訪ねて
     お参りして来たことあっちゃァ。小野妹子やら小野東風、
     小野篁らっちゃが祀ってあったような記憶あるワイか。
     もうちょっこし歩いたら「和邇(わに)」っちゅう、これまた
     歴史的な名前の駅あって、感動したもんやちゃ。」
                   
                          2006.8.9 小野 篁(六道珍皇寺/京都)
 ガマ;「そっでぇ、この小野ちゅもんなァ、
     仮名で書いたら「ヲノ」ながやちゃ。」
 タル;「え~!そんなら・・・」
 ガマ;「そうそう。「小野のヲ」や、ちゅうゥこっちゃちゃ。」
 タル;「なんちゅしたァ~~!!
     小野の「小っちゃいちゅう字」の「ヲ」や、ちゅう訳やネ!」
 ガマ;「ま、そっで、「小さい「を」」や、ちゅことやと思うがや。」

    
  この夜の酒は、格別に美味かったナァ~。

  後日、フトこの話を想い出して、
 そう言えば、私が幼少だった頃にオヤジが電話で電報を
 うって(?)いて、「朝日のア」「桜のサ」なんぞと言っていたので、
 もしや、これも・・・と調べてみた。
  電文を口述する時には、間違いが起きないようにするため
 の「通話表」というのが定められている。これで見ると、
 「ヲ」は「尾張のヲ」、とされていて、これはチョット違うみたい。

              

  たったこれだけの話だが、
 先日テレビの「秘密のケンミンSHOW」という番組で、
  「てっしゅに もみじこ でかいと のこいて こんだら」
 という富山弁のケンミン語講座をやっていたので、つい。
 同番組の解説を、少し補足しておく。
  「てっしゅ」はdishで、皿。ルーツは英語だと聞いている。
  「もみじこ」は色の連想から、明太子のこと。昔は赤かった。
   ナマや煮たものを私らは「スケコ」(助宗鱈の子)と言った。
   因みに、真鱈の子は「マコ」(漢字では畏れ多いので)。
  「でかい」は法量だが、「でかいと」は数量。「と」は「こと」か?
  「だら」はきっと、「陀羅発意(ぼっち)」から来ているのだろう。
 だから、
  「テッシュに紅葉子でかいと残いて、こんダラ!」
                    という文脈(?)になるのだろう。
    
  今は本業のモノ書きが忙しいので、こんなところで。
                       おあとが宜しいようで。
                           おゆるっしゅ~。
                                酔爺頓首

  p.s.
   不図 憶い出したが、
   「てっしゅ」の語を常用していた私の祖母は、
   私の幼少期に
   みかん のことを「うんしょ」と言っていた。
   それは「温州(うんしゅう)みかん」に由来するとのこと。
   昔の高岡人、仲々洒落て居りましたんですナァ~。

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Posted by タルさん  at 00:00 │Comments(0)伝説・方言

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